アリスのフルディスクリート・シャント・レギュレーター
AL431 キットの説明

※電源ICとして有名なシャントレギュレーター TL431と互換で、正電源はもちろん負電源用としても使用可能です。

    


【キットの概要】

アリス  「AL431はシャントレギュレーターIC、TL431をディスクリート化した基板です。
      トランジスターはSC59パッケージの表面実装品を使用します。
      表面実装部品とはいえ比較的大きいので手で実装することが可能だと思います。
      もちろん、ピン配置はTL431と同じですので差し替えにも対応できます。」

みみずく 「部品を選定することで高耐圧化、ローノイズ化ができることがメリットだな。」

アリス  「基本的にICよりもディスクリート・トランジスターのほうが性能が良いですもんね。
      それとAL431はNPNトランジスターとPNPトランジスターを入れ替えて実装することで
      負電源用のシャントレギュレーターにもなっちゃいます。ダイオードの極性も反対にすることを忘れずに。」

みみずく 「負電源、負電圧用のシャントレギュレーターは存在していないから、場合によっては役に立つかもしれない。」

アリス  「正電源用と負電源用がわからなくならないように、
      基板のAL431と書かれている横の“■”のところに“+”か“−”を油性マジックで書き込んで使ってくださいね。」

みみずく 「以後、正電源用をAL431(+)、負電源用をAL431(−)と呼ぶことにしよう。」

アリス  「AL431の基本的な使い方はTL431と同じなので、高精度の基準電圧源として使用したり、
      定電圧電源や定電流電源を作製することができます。miniRegminiReg2C3Bの記事を参考にしてください。
      TL431のデータシートも役に立ちますよ。」


【頒布について】  以下、AL431の各セットの基板は全て同一のものです。

ご注文についてはオーダーについてをご参照下さい。

@アリスのフルディスクリート・シャントレギュレーターAL431(+)

 内容
  ・基板(幅22.6o×長さ38o) …1枚
  ・NPNトランジスター(2SC2712GR) …9個
  ・PNPトランジスター(2SA1162GR) …2個
  ・ダイオード …2個
  ・抵抗器(金属被膜) …9個
  ・半固定抵抗器(サーメットトリマ) …1個
  ・コンデンサー(22pF) …2個
  ・L字ピンヘッダ(3P) …1個
  ・出力トランジスター交換用予備(NPN,2SC1815GR) …1個

 ※上記付属部品によるAL431の耐圧は50V、最大電流は150mA、最大定格は150mWまでとなります。
  また、出力トランジスターを2SC1815GRに交換した場合は最大定格が400mWまでとなります。 発熱が多そうなときはこちらをお勧めします。

 

Aアリスのフルディスクリート・シャントレギュレーターAL431(−)

 内容
  ・基板(幅22.6o×長さ38o) …1枚
  ・NPNトランジスター(2SC2712GR) …2個
  ・PNPトランジスター(2SA1162GR) …9個
  ・ダイオード …2個
  ・抵抗器(金属被膜) …9個
  ・半固定抵抗器(サーメットトリマ) …1個
  ・コンデンサー(22pF) …2個
  ・L字ピンヘッダ(3P) …1個
  ・出力トランジスター交換用予備(PNP,2SA1015GR) …1個

 ※上記付属部品によるAL431の耐圧は50V、最大電流は150mA、最大定格は150mWまでとなります。
  また、出力トランジスターを2SA1015GRに交換した場合は最大定格が400mWまでとなります。 発熱が多そうなときはこちらをお勧めします。

 

Bアリスのフルディスクリート・シャントレギュレーターAL431 基板のみセット(10枚)

 内容
  ・基板(幅22.6o×長さ38o) …10枚

 

Cアリスのフルディスクリート・シャントレギュレーターAL431 基板のみセット(30枚)

 内容
  ・基板(幅22.6o×長さ38o) …30枚

 

Dアリスのフルディスクリート・シャントレギュレーターAL431HV(+) 耐圧300V用セット ※若干数、在庫あり
 → こちらで高耐圧実験をしました。  →真空管アンプの電源に使用したレポートをいただきました。

 内容
  ・基板(幅22.6o×長さ38o) …1枚
  ・NPNトランジスター(2SC2712GR) …5個
  ・NPNトランジスター(2SC4497) …4個
  ・PNPトランジスター(2SA1721) …2個
  ・ダイオード(低耐圧品) …1個
  ・ダイオード(400V) …1個
  ・抵抗器(金属被膜) …9個
  ・半固定抵抗器(サーメットトリマ) …1個
  ・コンデンサー(低耐圧品22pF) …1個
  ・ディップマイカコンデンサー(500V 22pF) …1個
  ・L字ピンヘッダ(3P) …1個
  ・出力トランジスター交換用予備(NPN,2SC3672 or 2SC3425) …1個

 ※上記付属部品によるAL431の耐圧は300V、最大電流は100mA、最大定格は200mWまでとなります。
  また、出力トランジスターを2SC3672に交換した場合は最大定格が1000mWまでとなります。 発熱が多そうなときはこちらをお勧めします。

 ※高電圧での実験・使用は大きな事故につながる恐れがありますので、充分に検討のうえ自己の責任のもと慎重になさってください。
  電圧と電流の関係、発熱量の計算など安全確保が確信を持ってできない方はご使用にならないでください。

 

Eアリスのフルディスクリート・シャントレギュレーターAL431HV(-) 耐圧300V用セット ※若干数、在庫あり

 内容
  ・基板(幅22.6o×長さ38o) …1枚
  ・NPNトランジスター(2SC4497) …2個
  ・PNPトランジスター(2SA1162GR) …5個
  ・PNPトランジスター(2SA1721) …4個
  ・ダイオード(低耐圧品) …1個
  ・ダイオード(400V) …1個
  ・抵抗器(金属被膜) …9個
  ・半固定抵抗器(サーメットトリマ) …1個
  ・コンデンサー(低耐圧品22pF) …1個
  ・ディップマイカコンデンサー(500V 22pF) …1個
  ・L字ピンヘッダ(3P) …1個
  ・出力トランジスター交換用予備(NPN,2SA1432) …1個

 ※上記付属部品によるAL431の耐圧は300V、最大電流は100mA、最大定格は200mWまでとなります。
  また、出力トランジスターを2SA1432に交換した場合は最大定格が1000mWまでとなります。 発熱が多そうなときはこちらをお勧めします。

 ※高電圧での実験・使用は大きな事故につながる恐れがありますので、充分に検討のうえ自己の責任のもと慎重になさってください。
  電圧と電流の関係、発熱量の計算など安全確保が確信を持ってできない方はご使用にならないでください。

 

F表面実装トランジスターの実装代行

  AL431(+),AL431(-),AL431HV(+),AL431HV(-)について、キットに含まれるパーツのうち、表面実装トランジスターの実装のみを代行します。
  他のパーツは未使用のまま同梱されます。出力トランジスターを未実装とすることもできます。どちらでも費用は同じです。


【トランジスターについて(SC59パッケージ)

アリス  「SMD(表面実装)トランジスターについてはノーマークの人も多いでしょうから
      比較的入手の容易な東芝製のトランジスターをリストアップしておきます。参考にしてください。」

・2SA1162 / 2SC2712(ローノイズ品、耐圧50V、最大電流150mA、最大コレクター損失150mW)

・2SA1163 / 2SC2713(ローノイズ品、耐圧120V、最大電流100mA、最大コレクター損失150mW)

・2SA1312 / 2SC3324(ローノイズ品、耐圧120V、最大電流100mA、最大コレクター損失150mW)

・2SA1721 / 2SC4497(耐圧300V、最大電流100mA、最大コレクター損失200mW)

【キットの組立てにあたって】


アリス  「まず基板の写真を御覧ください。
      出力の表記がTL431とは変っていて、Refは同じなんですが、
      TL431ではC(カソード)と表記されているものがShunt(シャント)へ、
     A(アノード)
と表記されているものがG(グランド)へと変更されています。」

※クリックで拡大されます
 

アリス  「次に基板のシルク印刷と対応する部品表になります。番号1が出力トランジスターになります。 」


  重  要  【AL431HV 耐圧300V用セット の組み立てについて】

アリス 「AL431に高耐圧トランジスターを使う場合には注意が必要なことがあります。
     高耐圧トランジスターは低電圧では性能が出ないため次のようにする必要があります。
     そうしないと出力電圧が安定しません。」

●高耐圧品を使用するところ
  トランジスター番号:1,2,3,7,10,11 並びに 1の側のD、9の側のC

●低耐圧品を使用するところ(印加電圧はおよそ2V以下)
  トランジスター番号:4,5,6,8,9 並びに VRの側のD

●どちらでも良いもの
  8の側のC、抵抗器、半固定抵抗器

 

【組立ての手順】

アリス  「SMDのトランジスターは見分けが難しいので、最初に確認するようにします。
      ハンダ付けをするとフラックスの煙で汚れて文字が判別できなくなることがあります。」

例:PNPトランジスター 2SA1162GR “SG”と表記されています。
 

例:NPNトランジスター 2SC2712GR “LG”と表記されています。
 

アリス  「間違いを防ぐ為に、最初に10、11のトランジスターを実装してしまいましょう。
      実装するランドにフラックスを塗ってからハンダを控えめにつけておきます。
      フラックスはハンダを扱いやすくするので持っておくと便利です。」
 

アリス  「トランジスターをランドに重ねて、すでにランドにあるハンダをハンダごてで溶かしながら押し付けるように接合します。
      写真には写っていませんが、ピンセットは必須です。あと、細いコテ先があるといいです。」
 

アリス  「次に1〜9のトランジスターを実装し、続いてダイオード、コンデンサーも実装します。」
  

アリス  「抵抗、半固定抵抗を実装します。」
  

アリス  「L字ピンヘッダを実装して完成です。
      出力トランジスターにはTO-92パッケージのものも実装できます。TO-126も実装できると思います。
      TO-220はかなりガンバレば入ります。」
 

アリス  「忘れないうちにマジックで極性を書いておきます。」

アリス  「負電源用のAL431(−)はNPNトランジスターとPNPトランジスターの配置が逆になることとあわせて、
      保護ダイオードの極性がシルク表記とは反対になりますからご注意ください。」

 


【調整について】

アリス  「AL431は半固定抵抗で基準電圧の変更・調整ができるんですよね。」

みみずく 「基準電圧の調整は以下のようにやると良い。配線の抜き差しが容易なブレッドボードを一枚用意すると、とても便利だよ。」

アリス  「それでは、さっそくやってみましょう。まずはAL431(+)の調整です。ブレッドボードを用意して…」

アリス  「こんなふうに配線しておきます。」
 

アリス  「AL431を差し込んで測定と調整開始です。
      電源は5Vの小型スイッチング電源アダプターを使いました。
      長い2本のワイヤーをテスターに繋いで電圧を測ります。」

アリス  「測定雰囲気は室温28.6℃、湿度53.3%です。
      半固定抵抗(VR)をまわすことでAL431(+)の基準電圧は4.39〜1.35Vまで変化しました。
      無事に2.495Vに調整できました。」

みみずく 「温度で設定値が微動するから、根気良くちびちびと調整するのがコツだな。
      使用機器に搭載後に再調整をするくらいのつもりでちょうどいいかもしれない。」

アリス  「それでは、続いてAL431(−)の調整です。
      ブレッドボードの配線が負電源用に変ります。」
 

アリス  「AL431(−)を差し込んで測定と調整をします。」

アリス  「測定雰囲気は先ほどと同じく室温28.6℃、湿度53.3%です。
      半固定抵抗(VR)をまわすことでAL431(−)の基準電圧は−4.39〜−1.35Vまで変化しました。
      無事に−2.495Vに調整できました。」

みみずく 「AL431ではある程度自由に基準電圧を設定することができる。
      TL431のデータシートによると基準電圧を2.495Vに調整したときに最も温度安定性が高まるようだけども
      AL431の詳細は不明。あくまで実験・試作用途だと思われたし。」


アリス   「というわけで、パーツを基板に半田付けして、ユーザーの責任と判断のもと、充分に注意してご使用ください。
      本製品の製作・使用等に伴う事故や損害等につきましては、こちらでは一切の責任を負いませんので、あらかじめご承知置きくださいね。」

 

≪その1へ  AL431 Q&A コーナー≫

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