アリスの可変定電圧ミニ・レギュレーター(miniReg2) キットの説明
【三端子レギュレーター互換】
※トランジスター差し換え式

   

※出力電圧調整用の半固定抵抗が単回転、横調整タイプ(貴金属接点)に変更になりました。
 


 
※レギュレーターについてはこちらも参考にしてください。

   アリスの電源マニアックス



【キットの概要】

アリス  「以前に製作した可変定電圧レギュレーター:miniReg(みにれぎゅ)をバージョンアップしたもので、
      名前はminiReg2(みにれぎゅ2)です。
      シャントレギュレーターTL431と高性能なディスクリート・トランジスターを使用した定電圧回路基板のキットで、
      放熱フィンに直接取り付けることができるので
      三端子レギュレーターで有名な78xxシリーズ、79xxシリーズとの互換性が高まりました。もちろんピン配置も互換です。

       ●正電圧用は78xxと互換(ピンアサイン:IN-G-OUT)

       ●負電圧用は79xxと互換(ピンアサイン:G-IN-OUT)

      正電圧用がminiReg2(+)で負電圧用がminiReg2(-)です。
      パワートランジスターはTO−126パッケージとTO−220パッケージに対応していますので、
      ある程度の出力まで耐えることができます。」

みみずく 「non-NFBモードとNFBとの切り替え機能と、小信号用トランジスターの差し換え機能は先代から継続だね。」

アリス  「はい、このキットの特徴でもあるので残しました。
      シャントレギュレーターTL431にオーバーオールの負帰還をかけるNFBモードと、
      出力とは切り離して出力からの影響を限定して使用するnon-NFBモードを簡単に切り替えられます。
      オーディオの電源に使用した場合、non-NFBモードではTL431をオーバーオールの負帰還から切り離した
      独特の静かでどっしりとした音質を楽しめると思います。
      小信号用のトランジスターは音質への影響が大きいですから、
      丸ピンソケットを利用して差し替え試聴ができように、との機能です。

      それと、可変抵抗の接続方法を変更しています。一度電圧の調整を行ってしまえば、
      あとは無調整で使われるケースがほとんどなので、調整のしやすさを優先してあります。

      以下は回路図です。 ※左:miniReg2(+)、右:miniReg2(-)

     ★新規ロット分よりR2=33Ωとしてください。★


【使用にあたって】

@最大入力電圧は36V以下で。シャントレギュレーターTL431の最大定格は36Vです。37Vで絶縁破壊します。
 使用するトランジスターの耐圧は別に注意してください。

A最小出力電圧はnon-NFBモード時で約1.4VNFBモード時で約2.5V、最大出力電圧は入力の2.5V以下
 ※入力から1.5〜2.5Vの低ドロップ電圧で使用する場合にはパーツ交換等、注意点があります。こちらを参照してください。
 ※最小出力電圧を1.4V以下で、例えば1.2Vなどで使用したい場合にはこちらを参照してください。

Bパワートランジスター(上図Q1)の発熱(コレクター損失)には充分に留意してください。
 miniReg2の入力電圧と出力電圧の差をドロップ電圧(落差電圧)といいます。
 発熱量(W)= ドロップ電圧(V) × 出力電流(A)
 と概算できますので、放熱器なしなら発熱量1W以内に抑えたほうが良いでしょう。
 それ以上は放熱器を使用する必要があります。

CVRのノブを左に回すと出力電圧が高くなる(多回転型の旧パーツとは反対になります)。
 実装時は最小電圧から調整を行ったほうが危険が少ないでしょう。
 あらかじめ、ブレッドボードなどを利用して電圧のセッティングを行ってから実装することを奨励します。

 ・miniReg2(+)は左回し(反時計回り)で最大正電圧へ

 ・miniReg2(-)は右回し(時計回り)で最大負電圧へ

DNFBモードの出力電圧はnon-NFBモードよりも約1.2V高い
  ※miniReg2(-)ではモードの切り替えによって、出力電圧が倍近く変化するので注意が必要です。

Enon-NFBモード⇔NFBモード切り替え方法。ジャンパーピンで行います。もちろん電源は切った状態で行ってください。

【non−NFBモード時】

【NFBモード時】


【高性能化のための改造】

アリス   「R3をJ-FETの2SK30Y2SK246Yに交換するとさらに高性能化できます。
      オーディオ用の電源にはオススメの改造です。
      こちらの記事を参考にしてください。
      miniReg(-)は(+)とはJ-FETの実装の向きが反対になります。注意してください。」

アリス   「半固定抵抗のVRを固定抵抗器に置き換えると電圧の可変機能は使えなくなりますが性能が向上します。
       特にオーディオ用途ではとても有効だと思います。
       ただし、回路図を見て自分で計算できない場合は止めておいたほうが良いです。
       TL431には最低1mAの動作電流を確保する必要があることに留意してください。
       半固定抵抗を外してみて中点とそれぞれの抵抗値を測定します。
       基板上のVRの実装位置を正面から見て、右側をR(R)左側をR(L)として
       抵抗比を半固定抵抗器と同じにすると、同じ出力電圧が得られます。
       以下は一例です。」

※必ずご自身で計算してから投入してください。以下は机上計算ですので、ミスがあると事故の可能性があります。

【miniReg2(+) NFBモード時】
3.3V
5V
12V
15V
R(R)
20kR
47kR
91kR
75kR
R(L)
62kR
47kR
24kR
15kR

【miniReg2(+) non-NFBモード時】
3.3V
5V
12V
15V
R(R)
51kR
33kR
56kR
110kR
R(L)
62kR
22kR
13kR
20kR

【miniReg2(-) non-NFB モード時】
-3.3V
-5V
-12V
-15V
R(R)
62kR
22kR
13kR
20kR
R(L)
51kR
33kR
56kR
110kR


アリス 「レギュレーターの安全を確保しながら性能を引き出すには突入電流についての基本的知識が必要です。
     自作を始めたばかりの方に参考になるかもしれません。」

     →レギュレーターの突入電流対策について


【頒布について】

アリス  「ご注文はオーダーについてをご利用ください。」

     ※このキットは選択の幅を広げるためにトランジスターを付属していません。
      本キットを完成させるには小信号用トランジスターとパワートランジスターが別途必要なことにご注意ください。
      miniReg(+)にはnpnトランジスター、miniReg(-)にはpnpトランジスターを使用します。


スペルミスがあります。×nimiReg⇒◎miniReg そのうち直します…orz

@miniReg2(+)

内容
 基板(幅17o 高さ36o)……一枚  ※相手基板に実装時の高さは37.3o(突起含む)になります。スペーサーを外すと36oです。
 シャントレギュレーター(TL431)……1個
 NPN小信号用トランジスター……1個
 保護ダイオード……1個
 金属被膜抵抗……3本(33Ω、1kΩ、4.7kΩ)
 可変抵抗(100kΩ)……1個
 フィルムコンデンサー(0.01uF)……1個
 ジャンパーポスト……1個
 ジャンパーピン……1個
 L字ピンヘッダー……1個
 丸ピンソケット……1個

※上記の他にNPN型のパワートランジスターが必要です。用途にあわせて入手してください。
 必要な消費電流のおよそ3倍の最大コレクター電流のトランジスターが良いでしょう。
 パワートランジスターはTO126かTO220パッケージのものを実装できます。

 

AminiReg2(-)

内容
 基板(幅17o 高さ36o)……一枚  ※相手基板に実装時の高さは37.3o(突起含む)になります。スペーサーを外すと36oです。
 シャントレギュレーター(TL431)……1個
 PNP小信号用トランジスター……1個
 保護ダイオード……1個
 金属被膜抵抗……3本(33Ω、1kΩ、4.7kΩ)
 可変抵抗(100kΩ)……1個
 フィルムコンデンサー(0.01uF)……1個
 ジャンパーポスト……1個
 ジャンパーピン……1個
 L字ピンヘッダー……1個
 丸ピンソケット……1個

※上記の他にPNP型のパワートランジスターが必要です。用途にあわせて入手してください。
 必要な消費電流のおよそ3倍の最大コレクター電流のトランジスターが良いでしょう。
 パワートランジスターはTO126かTO220パッケージのものを実装できます。

 


【製作例と注意点】

(実装例)
 

 

 

部品表 ※miniReg(+)、miniReg(-) 共通
 IC…シャントレギュレーター TL431
 R1…金属被膜抵抗 4.7kΩ
 R2…金属被膜抵抗 33Ω
 R3…金属被膜抵抗 1kΩ
 VR…可変抵抗 100kΩ
 C…フィルムコンデンサー 0.01μF
 D…保護ダイオード
 Q1…パワートランジスター
 Q2…小信号用トランジスター
 他…L字ピンヘッダー(入出力用)、ジャンパーポスト&ジャンパーピン(non-NFB/NFB切り替え用)
    丸ピンソケット(小信号用トランジスターの差し換え用ソケット)

 

@余分なハンダ、リード線を切除しておく

基板裏の配線部が放熱フィンとショートしないように、ハンダ、リード線を短く切除しておきます。

 

ATO−126パッケージとTO−220パッケージのトランジスターはピン配置が逆

TO−126は表が見える向きで。

TO−220は裏が見える向きで。ちょっときつめなので、やや強く押し込みます。
感覚としては画鋲を押し込むくらいのキモチで…。抜くことはできますので、ぐーっと、いっちゃってください。
また、VRを基板裏に取り付けると、トランジスターと高さがそろうので放熱フィンの取り付けに都合が良い場合があります。
  


【低ドロップ電圧で使用したい場合】

特殊な使い方ですが、miniReg2は1.5V程度の低ドロップ電圧でも使用することができます。
但し、その場合は安全確保の条件がシビアになりますので、この項目を参考にして充分に注意してください。

(方法)
R3を1kΩから180Ωに変更します。

(制限事項)
R3の抵抗値を低くするとTL431に流れる電流が増えるため、定格・発熱への配慮が必要になります。
出力電圧の調整中に許容値を超える場合があることを考慮しなければなりません。
TL431の最大許容電流は100mA、TO−92パッケージなので発熱は400mW以下が望ましいでしょう。(もう少しいけますが。)
miniReg2の回路では、TL431のC:カソード電圧がminiReg2への入力電圧のちょうど半分のときに最も発熱量が大きくなります。
お使いの条件に合わせて安全圏を計算してください。

(計算がメンドクサイ場合)
入力電圧が17V以下であれば全出力電圧にわたって安全圏内です。

 

【最低出力電圧を1.4V以下で使用したい場合】

出力トランジスターのQ1をダーリントントランジスターに変更することでnon-NFBモード時の最低出力電圧を下げることが出来ます。
NFBモード時の最低出力電圧はいづれにしても約2.5Vとなります。

実験ではQ1に2SC4811を使用した場合、入力=5V、負荷=1kΩの状態(VoutとGNDの間に負荷抵抗として1kΩを接続した状態)
で最低出力電圧は約0.9Vとなりました。


アリス   「というわけで、パーツを基板に半田付けして、ユーザーの責任と判断のもと、充分に注意してご使用ください。
      本製品の製作・使用等に伴う事故や損害等につきましては、こちらでは一切の責任を負いませんので、あらかじめご承知置きくださいね。」

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