アリスのケミコン・ボードの巻き その2
アリス 「みみずく先生〜。アリス来ました〜。」
みみずく 「やあ、アリス。いらっしゃい。」
アリス 「今回の宿題はちょっと手強かったです。三日も図書館へ通っちゃいました。」
みみずく 「いまどき図書館なんて、アリスも古風だね。」
アリス 「本が好きなんです。それに、基礎的なことは、古いくても良質な本に学ぶことが楽しいように思うんです。
古びた本の中からいい本を見つけたときって、とってもワクワクします。こんなに昔に、こんなにスゴイことがわかっていたんだって。」
みみずく 「ほお、なかなかかっこいいセリフだぞ、アリス。」
アリス 「えへへ、そうですかぁ?」
みみずく 「成果はあったかい?」
アリス 「まだまだ、とは思うんですけど、少しだけわかったかも?です。」
みみずく 「それは楽しみだね、聞かせておくれ。」
アリス 「はい。えーっと…。
前回のみみずく先生のハナシをヒントに調べてみると、実際のコンデンサーは、コンデンサーそのものの性質であるキャパシタンスCと、
コイルとしての性質であるインダクタンスLと、抵抗としての性質であるレジスタンスRが直列に繋がったものだということが、
いろんな書物に書いてありました。」
みみずく 「ふむふむ。」
アリス 「ここで、インピーダンスという概念がでてきます。」
みみずく 「うん。」
アリス 「オームの法則で電圧E=抵抗R×電流Iなわけです。これは中学でやりました。確か。」
みみずく 「懐かしいな。」
アリス 「これをちょっぴり変形して、R=E÷I。これはつまり、『抵抗R』とは『電圧E』と『電流I』の割り算(つまり比率)である、
と考えていることになります。」
みみずく 「そのとおりだね。」
アリス 「コンデンサーの性質であるキャパシタンスCと、コイルの性質であるインダクタンスLに交流電圧をかけると交流電流が流れます。
また、交流電流を流すと交流電圧が生じます。」
みみずく 「うんうん。」
ありす 「そこで、このときの電圧Eと電流Iの比率をZ(インピーダンス)=E÷Iとして決めました。
インピーダンスは抵抗の考え方を交流に拡張した概念だといえます。」
みみずく 「なるほど。」
アリス 「ところで、キャパシタンスC、インダクタンスL、レジスタンスRのインピーダンスには次のグラフのような性質があります。」

アリス 「このグラフは、キャパシタンスCは周波数が高くなるほどインピーダンスが小さくなり、インダクタンスLは逆に周波数が高くなるほど
インピーダンスが大きくなること、レジスタンスRは周波数によらずインピーダンスが一定であることを示しています。
さて、これをひとつのコンデンサーとしてグラフ化してみますと、このようになります。」

みみずく 「ふむふむ。」
アリス 「このコンデンサーに交流電流を流してみることにします。」
みみずく 「いい展開だ。」
アリス 「このコンデンサー内のL、C、Rは直列に繋がっているわけですから、どの瞬間をみても、常にそれぞれの要素に流れる電流は
等しいハズ、ですよね?」
みみずく 「そうだね。」
アリス 「各要素に電流が流れると、それに応じた電圧変化が発生します。
そして、重要なことですが、電流の変動に応じてLとCは互いに 反対方向の電圧を発生させる性質を持ちます。
そして、グラフ上の周波数fpのとき、CとLは全く等しい正反対の電圧を発生させるために、打ち消しあってゼロになります。
このとき、コンデンサーには抵抗Rしか存在していないように見えます。
コンデンサー全体のインピーダンスはこのとき最も小さくなります。」
みみずく 「うん。」
アリス 「このときの周波数fpを自己共振周波数と呼び、RをESR(等価直列抵抗)と呼びます。
ちなみに、fp以下ではLよりCの性質が強くなり、fp以上ではCよりLの性質が強くなります。…こんなところでどうでしょうか?」
みみずく 「うん、すばらしい説明だ。」
アリス 「ちょっと疲れてきました。ふぅぅ。」
みみずく 「まあ、お茶でも入れよう。少し休んで。」
アリス 「ありがとうございます。いただきまーす。」
みみずく 「よく調べたね。ここまではコンデンサー単体の性質についてだね。正直、ここまで調べてくるとは思わなかった。よく頑張ったね。」
アリス 「ありがとうございます、みみずく先生〜。」
みみずく 「でも、どこから説明したらいいのか、かなり悩むだろ?」
アリス 「もう、頭の中がぐちゃぐちゃですぅ〜。」
みみずく 「コンデンサー(キャパシタンス)はエネルギーを電界(電気力線)に蓄える。
コイル(インダクタンス)はエネルギーを磁界(磁力線)に蓄える。
共振周波数ではキャパシタンスとインダクタンスが互いに等しくエネルギーをやり取りしている状態なんだ。」
アリス 「あぅ、アタマが休まらないよ〜、みみずく先生。」
みみずく 「ごめん、ごめん、一休みだったね。」
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