アリスのディスクリート可変定電圧レギュレーター

(三端子互換 LEDレギュレーター)


アリス  「わたしは最近やる気なのです。」

みみずく 「確かに、アリスは毎年秋が近づいてくると元気になってくるな。」

アリス  「秋が好きなのは事実ですけどね♪
      それはそうと、今回は新しい定電圧回路をつくりたいと思うのです。」

みみずく 「ずいぶん気合が入ってるな。
      何かきっかけでもあったのかい?」

アリス  「いえ、これといって特にはないんですけど、
      そろそろフルディスクリートのレギュレーターもつくりたいかなぁー?って。」

みみずく 「なるほど。そういえばやっていなかったね。」

アリス  「そうなんですよ。
      そのうちやろうと思っていたら随分たってしまいました。」

みみずく 「確かに、そうだ。」

アリス  「せっかくディスクリートでやるのだから、
      音の良いオーディオ用途のレギュレーターを目指したいと思います。」

みみずく 「仕様や目論見は決まっているのかい?」

アリス  「このようにしようと思います。」

  【新型定電圧レギュレーター 仕様の目論見】
   ・ディスクリート回路で
   ・三端子レギュレーター互換で置き換え可能
   ・出力電圧可変機能あり
   ・水準以上の性能と良好な音質
   ・出来ればトランジスター差し換え機能
   ・表面実装トランジスターにも対応

みみずく 「そうだな、充分に可能だと思うぞ。」

アリス  「それでですね、身も蓋も無いんですが、
      何を重視して設計すればいいのかわからないんです。
      是非、みみずく先生に一緒に考えてもらいたいと思いまして…。」

みみずく 「オーディオ用途ということであれば特にロードレギュレーション重視かな。
      ラインレギュレーションも重要なんだけど、向上させる方法は後からいくらでもある。」

アリス  「そういわれましても…」

みみずく 「電源の設計は経験によるところも大きいからね。」

アリス  「むむむ…、わたしにわからなくてもいいのでお話しを進めてください。」

みみずく 「じゃあ、少し仕様を練りこんでいこうか。」

アリス  「はい。」

みみずく 「そうだねー、ここはひとつ欲張って、
      レギュレーター単体で可聴帯域を充分上回るような、たっぷりとフラットで、
      なおかつ、変なピークの無いナチュラルな周波数特性を目指そう。
      もちろん音質の良いものを目指す。」

アリス  「あ、そういう話ならついて行けます。」

みみずく 「レギュレーターの性能を向上させるためには高域性能や利得を伸ばすことがひとつの有効策。
      しかし、レギュレーター内部の制御アンプの能力を伸ばしていくと動作が不安定になりやすくなる。」

アリス  「性能を追求しても、トランジスター差し換えで問題が起こらないことも大事ですよね。」

みみずく 「そう、それも大事だ。
      性能と安定性を両立する為に位相補償を施すという手もあるんだが残念ながら音が悪くなることがある。
      そこで、今回は位相補償を使わないギリギリの設計にして、
      汎用性は損なうが、出力のデカップリングコンデンサーの容量に制限を課すことによって安定性を確保する
      という方法にした方がオーディオ的には良い結果になるのではないかと思う。
      オーディオ用で自作用途だし、そういうトレードオフも面白いんじゃないかな?」

アリス  「わかりました。そのコンセプトは採用したいです。」

みみずく 「あとは基準電圧源だな。」

アリス  「TL431シャントレギュレーターなんかがよく使われますよね。」

みみずく 「シャントレギュレーターICが使われることは多いね、他にも基準電圧用ICがあるし、
      ツェナーダイオードも使われる。
      今回の用途で面白いのはLED(発光ダイオード)かな。」

アリス  「LEDですか?」

みみずく 「実はLEDは基準電圧源としては最もローノイズなもののひとつなんだよ。」

アリス  「ふむふむ。ローノイズと言うのはメリットがありそうです。」

みみずく 「もちろん音質的にもメリットがある。」

アリス  「いいですねー。」

みみずく 「LEDは基準電圧用としては作られていないから、
      Vf(順方向電圧)が規格化されていなくて狙いの電圧を得るためには使いづらい点はあるけど、
      出力電圧の可変機能があればそれを補うことができるので問題にならない。
      可変機構とあわせて、基準電圧よりも数倍の高い電圧を出力するときの性能を向上させる工夫もしよう。」

アリス  「では、早速それも採用ということで。」

みみずく 「LEDは品種によってかなり音質に違いがあるから趣味的にも面白いと思うよ。」

アリス  「なるほど。どんな変化があるのか楽しみです。」

みみずく 「さぁ、それじゃあ具体的な設計を詰めてしまおう。」

アリス  「わっかりましたー。
      設計が完了次第、アートワークに入ります。
      名前はLED.Regです。」

 できました。
  


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