アリスのケミコン・ボードの巻き その4(完成編)アリス 「こんにちは、みみずく先生。アリスでーす。基板、届いたんですよねー♪」 みみずく 「やあ、アリス。ちょっと待ってておくれ…。……ほら、これだよ。」 アリス 「わーい♪設計したものができあがってくると嬉しい♪」 みみずく 「しげしげと眺めてしまうよな。」 アリス 「うんうん♪『アリスのケミコンボード』って、ちゃんとはいってる。カワイイ、満足です♪」 みみずく 「基板にバグはなさそうだね。」 アリス 「それじゃあ、さっそく組み立ててみようっと。」 みみずく 「アリスは気が早いね。よかったら私の研究室を使いといい。」 アリス 「ありがとうございまーす。あ、そうそう、コンデンサー、分けてもらえそうなものってありませんか?」 みみずく 「そうだねぇ…、実験の内容が内容だから、できるだけ高性能な電解コンデンサーを使いたいよねえ…。 アリス 「わくわく。」 みみずく 「お、いいのがあったぞ。とっておきの超高性能電解コンデンサーだ。前に仕入れていたんだった。」 アリス 「見た目は普通ですね。」 みみずく 「そうだね、工業用の普通のものだ。そういえば、アリスは普段『オーディオ用』と銘打った電解コンデンサーを使っているんだったね。 アリス 「『オーディオ用』は、見た目も大きいのが多いです。買うときにワクワクするんですよね♪このコンデンサーは何が違うの?」 みみずく 「電解コンデンサーとしては総合力で群を抜いた性能を持っている。海外でニセモノが出回っているほどだ。 アリス 「そんなこと聞いちゃうと、普通の見た目がちょっぴりかっこよく見えてきちゃいました。」 みみずく 「そうだろう?ちなみに経年劣化に対する性能も極めて優れている。 アリス 「みみずく先生の一押しのケミコンというわけですね。」 みみずく 「そう、ここ一番でかなり頼りになるケミコンだ。」 アリス 「と、いうわけで、さっそく作業をさせてください。」 みみずく 「やけどに気をつけるんだよ。」 〜〜しばらくして〜〜 アリス 「でっきたぁ〜♪みみずく先生、できましたー♪」 みみずく 「お疲れ様、だいぶ半田付けが早くなったね、アリス。」 アリス 「えへへ、ありがとうございます。この半田ごて使いやすいですね?」 みみずく 「ほとんど毎日使うものだからね。それなりにいいものを買ってあるのさ。」 アリス 「やっぱり、いい道具は違いますねー。それだけで上手くなったように感じます。」 みみずく 「半田不良はなさそうだ。使えそうだね。」 アリス 「実験開始ですね♪」 みみずく 「何からはじめるつもりだい?」 アリス 「みみずく先生、クルマ出してください。」 みみずく 「は?なんで?秋葉原にでも行きたいのかい?」 アリス 「秋葉原はまだコワイです。一緒に行ってくれるんならいいけど。 みみずく 「そっちか!アリスは燃費改善には興味ないんじゃなかったっけ?」 アリス 「燃費改善には興味ありません。 みみずく 「そんなことより、ギター・エフェクターやオーディオ・アンプの電源平滑回路に使ったほうが楽しいと思うんだけどなぁ。 アリス 「もちろん、そっちが本命ですよー♪さ、はやく、クルマクルマ♪」 みみずく 「大丈夫かなあ。壊れないかなあ。」 アリス 「みみずく先生、エンジニアでしょ。壊れたら直せますよ。」 みみずく 「まあ、モノは試しだ。やってみよう。まずは取り付ける前の状態を計測しないとね。少し走りに行こうか。」 アリス 「わーい、ドライブだ♪」 みみずく 「やれやれ、仕事が進まないよ。」 〜〜帰ってきた一行〜〜 みみずく 「さて、満タン法でと…、まあ、大体5.8`b/gだね。今日は特に悪いな。熱くてエアコン全開だし、高速道路を使わなかったからな。 アリス 「では、ケミコンボードを取り付けましょう。…って、エンジンルーム熱すぎです。触れませんよー。」 みみずく 「あぁ、そうだ。このクルマ。エンジンルームが熱くなるんで有名だった。どれ、私がやろうか。」 アリス 「この車はどんなエンジンなの?」 みみずく 「水平対向6気筒3000cc自然吸気エンジン、DOHCで燃料はハイオク・ガソリン。改造は一切していない。 〜〜しばらくして〜〜 アリス 「どう?みみずく先生?違いはあるの?」 みみずく 「そうだね、低速のトルクが太くなったように感じる。滑らかでコントロールしやすい。」 アリス 「横に乗っていても、あんまりわからないわ。」 みみずく 「そういう劇的な変化は起こらないだろうね。」 アリス 「それよりもカーステレオの音の方が気になります。みみずく先生のクルマ、前からこんなにいい音だったかしら?」 みみずく 「あ、やっぱりわかるかい?私もそう思っていたんだ。カーステレオ自体はいままでと同じディーラー標準グレードの安物だ。 アリス 「ほーんと♪FMラジオがとっても楽しく聞ける。あ、これなんかいいギターの音だわ♪」 みみずく 「カーステレオの音については劇的な違いがあるな。」 アリス 「私は燃費よりこっちの方が好き。」 みみずく 「さあ、そろそろガソリンを入れに行こう。」 アリス 「楽しみですね。」 みみずく 「再び満タン法でと…、大体7.1`b/gだね。」 アリス 「すごーい、よくなってる。」 みみずく 「ちょっと出来過ぎな気もするが、渋滞も無かったしね。それを差し引いても燃費がよくなっている可能性があるね。 アリス 「違いはありそうだわ♪」 みみずく 「その可能性は充分ある。」 〜〜後日談〜〜 アリス 「あのときのケミコンボード。ギター・エフェクターの電源に使ってみたら、とってもよかったです。 みみずく 「よかったじゃないか、アリス。ギター系は改造の効果が出やすくって楽しいだろ?」 アリス 「はい、とっても♪これはちょっと手放せないですね。練習時間が増えました。」 みみずく 「これは余談だが、ギター系とピアノ系は同種のチューンが通用する場合が多い。試してみるといいかもしれないよ。」 アリス 「ピアノもですか?それは楽しみです。みみずく先生の方はどうだったんですか?」 みみずく 「結論から言うと、燃費に対してのケミコンボードの効果は断定できない。」 アリス 「あんなによくなったのに?」 みみずく 「いろいろやってみたんだ。まず、バッテリーが古かった。 アリス 「ふーん、バッテリーって大事なんだ。」 みみずく 「思っていた以上にとっても大事。高性能バッテリーを積むことは怪しげなチューンよりよっぽど確かな効果があるようだ。 アリス 「え、どんなこと?」 みみずく 「ケミコンボードを再度取り付けると、やっぱり低速域が滑らかでコントロールしやすくなる。 アリス 「燃費、よくなってるんじゃないかしら…?」 みみずく 「まあ、良くなってるような気もするんだが…。これについても、さらに面白いことがわかった。 アリス 「それは残念です。」 みみずく 「ま、8`b/gでも都心部での使用を考えれば充分にいい数値なんだけどね。で、ちょっと原因を考えてみた。」 アリス 「聞きたいです。」 みみずく 「私は新品のバッテリーを搭載前に14.4Vでフル充電した。 アリス 「どうなったんですか?」 みみずく 「案の定、燃費が9`b/gに近くなった。」 アリス 「どうしてなんでしょう?」 みみずく 「そこで、理由を2つ考えてみた。 アリス 「バッテリーに充電するのが効果的ってこと?」 みみずく 「そうだね、毎日家に帰ったら、バッテリーを充電器につなぎ、せっせと充電すると、燃費は確実によくなるだろうね。 アリス 「100円かからないんじゃお得ですよね?」 みみずく 「そうだね、明らかにお得だ。ただ、ちょっと注意点がある。」 アリス 「なんですか?」 みみずく 「充電電圧だよ。車載用に使われているバッテリーはほとんどが鉛バッテリーだ。 アリス 「いろいろルールがあるんですね。とても覚えられないわ。」 みみずく 「そうかい?簡単なんだけどなあ? アリス 「これなら、わかります。実際はどうやったらいいですか?」 みみずく 「充電器をシガーソケットに繋いで使うといい。たいていは中心がプラスでスリーブがマイナスだ。 アリス 「これくらいなら、私でもできそうです。」 みみずく 「ちなみに、鉛バッテリーはフル充電に近い状態で使ったほうが寿命が延びる。 アリス 「急速充電も禁止だし、電圧と電流を自由に設定できる充電器なんて、あんまり売ってませんよ? みみずく 「充電回路なんて簡単に作れるんだけどなあ?というわけで、アリス。君にその栄誉を授けよう。」 アリス 「え〜、あたしが作るの?」 みみずく 「初学者にはいいお題だと思うよ。この勉強をすると、ギターの音がもっとよくなるかも知れないゾ。」 アリス 「はーい、頑張ってみまーす。」 →コチラでやりました 〜〜こんかいのけつろん〜〜 みみずく 「かなり横道にそれてしまったが、結論を言うと、ケミコンボードを搭載したことで燃費が悪くなることは無く、よい数値が出ることも多かった。 アリス 「私は楽しかったからOK♪」 ※注記:充電という形で外部からエネルギーの供給があるわけだから厳密には燃費の改善とはいえない。
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